ロシアの自由刑

 以前の記事において、ロシア刑法(Уголовный кодекс РФ)44条には、13種類の刑罰が規定されていることを紹介したうえで、刑罰として規定されている3つの労働の種類についてその相違点を紹介しました。
 そのうえで、今回は13種類の刑罰のうち、自由制限(ограничение свободы)と有期自由剥奪(лишение свободы на определенный срок)の相違点を紹介したいと思います。

 (1)自由制限(ограничение свободы)
 自由制限は、53条に規定されており、自由制限とは、裁判所から有罪判決を受けた者に対して、次のような行動をとることを禁止する処分です。
 ― 1日のうち一定時刻に居住(滞在)する場所から外出すること
 ― 特定の場所を訪問すること
 ― 特定の地域から移動すること
 ― 大衆が集まるようなイベントに訪問・参加すること
 ― 居住(滞在)場所や職場・教育機関を変更すること
 もちろん、専門の国家機関の同意を得れば、上記行為を行うことは可能となります。そのうえで、監督の観点から、裁判所は、上記行動の禁止措置を講じた者に対して、月に1回から4回、登録を行うために、専門の国家機関に出頭義務を課すこと、とされています。

 (2)有期自由剥奪(лишение свободы на определенный срок)
 有期自由剥奪は、56条に規定されており、上記自由制限とは異なり、社会から隔離を伴う形で、矯正施設や刑務所に有罪判決を受けた者を送致する処分を指します。自由剥奪の期間は一定の例外はありますが、原則は2ヵ月~20年とされています。

参考

http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/acef877964fa26ca15e338b20be547bc54545522/
http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/412ff33a4344e1fc162cd8ec95285831cec940be/#dst103474
http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/57aab780bd6bda63d406bf99082ab3b3afe269ab/#dst100242