違法な情報収集と刑事罰

 今回は、ロシア刑法(Уголовный кодекс РФ)のうち、「商業、税務、銀行の秘密を構成する情報の不正収集および開示」を処罰する同法183条を紹介したいと思います。

 183条1項によると、窃盗、贈収賄、脅迫またはその他の違法な手段により商業、税務、または銀行の秘密を構成する情報を含む文書を収集した場合には、500,000ルーブル(約75万円)あるいは被告人の1年分の給与に相当する金額以下の罰金、1年以下の強制労働、または2年以下の懲役・禁錮に処せられる可能性があります。
 そのうえで、かかる文書の収集および開示が「業務上」行われた場合には、同条2項により、法定刑が加重されています。また、「業務上」違法な文書の収集および開示をした結果、甚大な被害が生じてしまった場合には、同条3項で法定刑が2項よりもさらに加重されます。

 実際にこの条項が問題となった事案として、男性従業員が解雇された腹いせに顧客情報を会社から持ち出し、売却した事案(Дело N 1-214/2015 от 18 августа 2015 года)があります。

参考

http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/696074503229a6bf1978651f48895bf3a8831bd8/

http://infotain.ru/info/articles/delo-1-214-2015/