ロシアの刑罰(労働)

 以前の記事において、ロシア刑法(Уголовный кодекс РФ)44条には、13種類の刑罰が規定されていることを紹介しました。
 もっとも、日本の刑法に規定されている刑罰とは異なるものがいくつかあるうえ、その内容もわかりにくいものとなっているため、今回は刑罰として規定されている3つの労働の種類についてその相違点を紹介したいと思います。

(1)義務的労働(обязательные работы)

 義務的労働は、刑法49条に規定されており、同条により、義務的労働を命じられた者は、 社会的に有用な労働を一定時間(総計60時間から480時間・1日4時間を超えない)無償でこなすことが求められます。
 具体的な労働内容と職場は、刑事執行官が決定することとなっており、その対象となる労働の例としては、慈善活動、清掃活動、特定の資格なしにできる公共的な活動などが挙げられます。

(2)矯正労働(исправительные работы)

 矯正労働は、刑法50条に規定されており、同条により、矯正労働を命じられた者は、従来の職場で勤務しながら、その報酬のうち、裁判官の裁量により、5%から20%を国庫に納めることが求められます。
 義務的労働とは異なり、労働の種類の制限はなく、今までと同じ仕事ができる点がポイントとなります。

(3)強制労働(принудительные работы)

 強制労働は、刑法53.1条に規定されており、軽罪、中程度の犯罪、または重罪の初犯の際に、懲役の代替手段として適用されたりする刑罰の一種です。強制労働で得た報酬のうち、裁判官の裁量により、5%から20%が国庫に納められる点で矯正労働と似ていますが、強制労働の場合は労働を行う場所が刑事制度の中で規定される特定の施設と決められている点で矯正労働とは異なるものとなっています。

参考

http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/acef877964fa26ca15e338b20be547bc54

http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/a65dac489bf58afbf78d6fbc5ad58048769b2a93/

http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/fd830e7cf3c0e1074ca35a580314701483ff611a/

http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/fbf561e8e76ded47846e0b625229d7933bbcc93a/