今回は、コロナウィルスの影響で使用者が労働者を雇用し続けるのが困難な状況の際、労働者に無給休暇を取得することを強制することがロシアにおいてできるかについて分析をしたいと思います。
ロシア労働法128条の紹介
ロシア労働法(Трудовой кодекс РФ)128条によると、家族やその他の正当な理由により、労働者は書面により、無給の休暇の取得を要求した場合、労働者は無給の休暇を取得することができ、その期間は、使用者と労働者の間の合意によって決定されます。
そのうえで、同条項によると、使用者は、以下の6つの部類の労働者から書面によってこのような申請を行った場合には、労働者に無給の休暇を提供する義務があると規定されています。
― 第二次世界大戦に参加した者:1年に最大で35日の休暇
― 年金受給の対象(年齢で判断)になっている者のうち、労働者として働いている者:1年に最大で14日の休暇
― 兵役関連の仕事で殉職した者の両親、妻や夫が労働者となっている場合:1年に最大で14日間の休暇
― 障がいを抱えながら働く者:1年に最大で60日の休暇
― 出産した労働者、婚姻登録をした労働者、近親者が死亡した労働者:最大で5日の休暇
― なお、その他法律で規定されている場合も使用者は労働者にかかる法律で規定されている内容の無給休暇を提供する義務があります。
条文の分析
第二次世界大戦についてまで規定されている少し古い条文とはなりますが、この条文を分析する限り、ロシア労働法128条は、労働者が使用者に要請した場合にのみ無給休暇が与えられる建付けとなっている以上、使用者が労働者に無給休暇をとるよう強制することは条文上はできないこととなっているように読めます。
参考
http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_34683/ac98e98a7f06d32e7efc3643733e00e94c4fb1b6/