ロシアにおける命令違反を理由とする不当解雇

会社としては、指示に従わない従業員は解雇したいものですよね。もっとも、従わなかった命令や指示がどのようなものであるかにより解雇の適法性が左右されます。今回は、会社からの命令に従わなかったことを理由に解雇された従業員に関する事案(Апелляционное определение Свердловского областного суда от 20.04.2018 N 33-6781/2018)を紹介したいと思います。

事案の概要

ある従業員は会社から出張に行くことを命令されたにもかかわらず、その命令に従わなかったとして、解雇されてしまいました。そこで、この従業員はかかる解雇は不当解雇であるとして、裁判所に訴えを提起しました。
従業員の主張としては、そもそも会社が命令した内容の出張は従業員の業務内容に含まれておらず、今回自分が解雇された実質的理由は、会社の経営者の不当な経営による赤字等を外部に公表したことが主の理由であるとの主張でした。

裁判所の判断

裁判所は、従業員の雇用契約や業務内容を具体化指針等に、今回の従業員が出張に行くべきことが業務内容に含まれているとは読み取れないとして、今回の従業員の解雇が不当なものであったと判断しました。

ロシア法における規律

ロシアの労働法(Трудовой Кодекс РФ)60条によると、従業員に出せる命令は業務内容に含まれるものに限られ、命令を遂行しないことによる解雇は、あくまで業務内容に含まれる命令の遂行拒否に限られることとされています。
このような解雇が不当なものであるということはごく当たり前のことかもしれませんが、たまに今回の事案のような形で、業務内容に含まれない命令の遂行拒否による解雇が会社によりなされることがあります。このような解雇は不適法なものとして、裁判所で争われた場合、会社は敗訴してしまうことになるので、命令の遂行拒否に基づく解雇をロシアでする場合には、今一度、命令の内容が業務内容に含まれるかを検討してから行うことが重要となってくるので気を付けましょう。

参考

ТОП-10 самых интересных трудовых споров
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http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_34683/4b11138f88cca50c663bdfde1ae210c80ffd8ad2/