以前、コロナウィルスの影響で2020年5月6日付で、ロシアの経済発展省(Минэкономразвития России)が、賃借人が賃貸借契約を早期解約する場合、賃貸借契約に直接の規定が存在しない限り、違約金の支払が不要となる取扱いが検討されていること、また、賃料の支払いの繰り越しが検討されていることをご紹介しました。
その後、賃貸借契約に関して、特に、中小企業の保護という観点から、ロシアにおいてさらに新しい法改正の動きが現在、見受けられます。
そこで、今回はこの賃貸借契約に関連する更なる新しい法改正の動きを紹介しているロシアのサイト(http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_353139/)で紹介されている法改正の内容をご紹介したいと思います。
検討されている新しい法改正の内容は、賃料の減額と契約の解除に関する法改正(Уменьшение платежей по аренде недвижимости и отказ от договора)となっています。
対象となる賃借人は、コロナウィルスの影響を受けた産業の中小企業となります。
対象となる賃借人には、最大1年間、居住用ではない建物の賃料の減額を要求する権利を与えることが検討されています。対象となる建物はあくまで当該中小企業の活動に関連するものとなっています。
そのうえで、対象となる賃貸借契約はあくまで緊急事態宣言(РПГЧС)が出される前に締結されたものに限られます。
仮に、両当事者が賃料の引下げや賃料の条件の変更に応じない場合には、賃借人は10月1日前であれば、賃貸借契約を解除することができます。この解除が可能なのは、賃借人が賃貸人に対して、賃料の減額を要求した日から14営業日以内に両当事者が合意に達しなかった場合という方向性で検討がなされています。
そのうえで、賃料減額による賃貸人の損失、さらには賃貸借契約が解除されてしまった場合の賃貸人の損失についての賃借人の負担は、免除されます。
さらに、賃貸借契約が解除されてしまった場合には、敷金(保証金)の返還は不要とされています。
参考
http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_353139/