ロシアにおけるビッグデータ利用(顔認証)

2018年の半ば頃から、ロシアでは顔面生体認証データ(Биометрические данные лица)の収集が開始され、主に、銀行や電話会社がこれらの情報を収集していました。もっとも、2020年1月時点での収集データ数が十分なものとはいえないものであったことから、今年に入って、収集データ数を増やそうという動きが強化される模様です。

情報収集ルート拡大の予定

今まで収集を中心となって行っていたのはあくまで銀行や電話会社でした。例えば、口座開設をする等の手続の中で顔面生体認証データを写真撮影及び音声録音という手段により獲得していました。2021年4月からは、このような収集ルートに加え、役所も収集を開始するようです。もっとも、全ての役所が収集を開始するわけではなく、あくまで地方自治体の代表等が当該地域の役所での収集を認可した場合に限ります。

データの管理体制

収集されたデータは、整理されたうえで、一元化されたシステムで保存され、本当に本人の情報であるかという点が保存後も丁寧に確認される制度態勢となっています。
もちろんデータの収集は強制的に行われるものではなく、あくまで個人の任意の同意のうえなされるものとなっています。もっとも、銀行や電話会社は、顔面生体認証データを保存すると、手続が安くなるであったり、より円滑に手続ができるといった歌い文句を使って、国民がデータ収集への同意しやすいように誘導をしている状況は一定程度見受けられています。

データ収集の危険性

この顔面生体認証データが集まることで、個人の特定がより容易になり、今まで実際に直接、役所・銀行等に行かなければできなかった手続がインターネットを通じてもできるようになる点で国民にとっては大きなメリットがある制度改革といえます。もっとも、その反面、個人に関するデータが集められるということはそのデータが流出し、個人が危険な状態にさらされる危険性ももちろんはらんでいます。そのため、国民の生活を便利にするという点に着目することもよいことではありますが、収集されるデータ数が増えるにあたりその保管にはより細心の注意を払う必要性が今後出てくるのではないかと私は分析します。

参考

МФЦ разрешат собирать биометрические данные граждан - Российская газета
МФЦ разрешат собирать биометрические данные граждан
Приказ Минкомсвязи России от 25.06.2018 N 321
Приказ Минкомсвязи России от 25.06.2018 N 321 Об утверждении порядка обработки, включая сбор и хранение, параметров биометрических персональных данных в целях и...