ロシアにおける虚偽情報の拡散と行政罰

 コロナウィルスとの影響で、国民の生命等に関連するデマ情報を規制する動きがロシアで拡大している中で、その規制の動きの1つとして、デマ情報を流した者に対して適用される犯罪が、新たに2020年4月1日付でロシア刑法(Уголовный кодекс РФ)207.1条および207.2条に規定されたことを以前、紹介しました。
 今回は、これらのデマ情報の取締りと関連する行政罰を規定した条項を紹介したうえ、いかなる場合に行政罰が、いかなる刑事罰が適用されるのかのすみわけに関して紹介したいと思います。

 ロシアの行政違反に関する法律(Кодекс Российской Федерации об административных правонарушениях (КоАП))13.15条の第10.1項によると、「Распространение в средствах массовой информации, а также в информационно-телекоммуникационных сетях под видом достоверных сообщений заведомо недостоверной информации об обстоятельствах, представляющих угрозу жизни и безопасности граждан, и (или) о принимаемых мерах по обеспечению безопасности населения и территорий, приемах и способах защиты от указанных обстоятельств」と規定されています。
 つまり、国民の生命や安全に脅威を与える情報、国民や地域の安全を講ずるために提供される措置、これらの脅威から身を守るための方法、といったことに関して故意に虚偽の内容を信頼できる内容にようにメディアを用いて公に示したり、インターネットで拡散することは、行政罰の対象となっています。
 行政罰としては、法人が対象となっている場合には、1,500,000~3,000,000ルーブル(約225~450万円)の過料がかされる可能性があるといった内容などが規定されています。
 なお、人の死に結び付いてしまった場合には、同条第10.2項により、さらに行政罰が加重されています。

 そのうえで、行政罰と刑事罰のすみわけですが、2020年4月21日に最高裁判所が発表した資料(Обзор по отдельным вопросам судебной практики, связанным с применением законодательства и мер по противодействию распространению на территории Российской Федерации новой коронавирусной инфекции (COVID-19) № 1)によると、行政罰は法人のみが対象となっており、刑事罰は個人の人(公務員、法人の代表者を含む)のみが対象となっています。

参考

!https://vsrf.ru/documents/all/28857/
!http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_34661/82c0a663173b440cc9b027bc8e687dc9e36e71ad/
!http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/9d8a5b6501a01da934c1bbd0ca9b1fd46df76a72/
!http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_10699/7dcac8801f9fa5415250803c6d4bc4366bb91f1b/