委任による代理人が本人の指名に従って復代理人を選任した場合、代理人は、選任時に復代理人が不適任であることを知っていたとしても、本人に対して復代理人の選任についての責任を負う?

改正前の旧105条2項では、本人の指名に従って代理人が復代理人を選任した場合、代理人の責任を制限することが規定されていました。

しかし、改正により旧105条2項は削除されました。

これは、本人の指名に従うか否かというひとつの事情によって代理人の責任を大きく制限することは適切ではなく、代理人の責任についても、契約の内容から判断されるべきであるという、新民法の根底にある契約責任説的立場によるものです。

したがって、新民法の下では、たとえ本人の指名に従って復代理人を選任したとしても、その一事によって代理人の責任が制限されることはなく、たとえ選任時に復代理人が不適任であることを知っていたとしても、本人に対して復代理人選任についての責任を負わない場合もありえます(逆に、責任を負う場合もあります)。その判断は、本人と代理人との間の契約に照らして判断されます。