事業を展開する中で合弁契約という契約が締結されることがあります。英語では、JOINT VENTURE AGREEMENTと呼ばれます。この契約を締結することにより、自社以外の知的財産、のれんなどを共同利用し、事業を展開していくことが可能となります。
ロシアでも合弁契約を締結することにより、事業を展開していくことは可能です。実際、合弁契約に関する規定は連邦法(Федеральный закон N 335-ФЗ « Об инвестиционном товариществе»)で規定されているとともに、ロシア民法(Гражданский кодекс РФ)の第55章で規定されています。連邦法に関しては、施行されたのが2012年1月1日付であり、規定が盛り込まれてから、まだあまり年数が経っていないと評価できます。
ロシアにおけるジョイントベンチャーの状況
実際、ロシアではどの程度、合弁契約が活用されているかというと、統計として発見できたものにおいては、およそ2012年から2016年の間でわずか35件のみでした。その中で、2015年が15件とピークを迎えており、その後、件数は減少傾向にあります。最新の合弁契約の件数は発見できていないのですが、2015年がピークであることがアメリカのロシアに対する経済制裁に大きく起因していることを考慮すると、現在もあまり件数は大幅に増加はしていないものと推測できるのではないでしょうか。
ロシアにおける合弁契約の特徴
(1) まず、日本では、当事者の数の制限はないですが、ロシアでは1つの合弁契約を50より多くの当事者との間で締結することはできないと条文に明記されています。どうして50という数字が基準となっているのかはいまいちわからない状況です。
(2) また、日本では契約を締結できる期間の制限は設けられておらず、契約自由の原則が支配するのに対し、ロシアでは、合弁契約は最長でも15年契約しか締結できず、これ以上の期間を締結することはできません。もちろん更新は可能です。
(3) そのうえで、ロシアで合弁契約を締結するためには、ロシア国内に代表者を置かなければならないので、ロシアに進出する外国企業等はこの点に留意する必要があります。
(4) そして、ロシアの合弁契約の解約ですが、合弁契約を支配する法律には、原則解約でない旨の規定があるので、解約を視野に入れるのであれば、解約する場合の条件等を合弁契約内に盛り込んでおかないと、自由に解約ができないのでこの点も気を付けるべきです。