不法行為に基づく損害賠償請求(ロシア)

 ロシアにおいても損害賠償請求に関する規定が存在します。
 そこで、今回はロシアにおける損害賠償請求に関する規定がどのようになっているのかを、条文および事案を用いて紹介したいと思います。

ロシア法の規定

 まず、不法行為に基づく損害賠償に関する規定は、ロシア民法(Гражданский кодекс Российской Федерации)1064条に規定されています。
 そして、同条1項には、個人や法人の財産等が侵害された場合には、全額賠償しなければならないと規定されています。さらに、損害を与えた者以外であっても損害を補填する義務が発生する場合があることも規定されており、この損害を与えた者以外が損害を補填する義務を負うのは、民法60条(建築中の建物を含む建築物が損壊した場合などを規定した条文)に該当する事由がある場合を意味します。
 そのうえで、1064条2項によると、損害賠償請求された相手方は、かかる損害の発生に関し無過失である場合には損害賠償請求を免れると規定されています。なお、無過失であることの立証責任は、損害賠償請求された相手方にあります。

具体的な事案

 次に、上記条文を使って判断を導き出した事案(Определение Верховного Суда РФ № 11-КГ19-15 от 13 августа 2019 года)を紹介したいと思います。
 この事案は、1,000本もの木を倒壊させた大規模な台風があった後に起きた事案です。
 ある男性は、自宅のアパート前に車を停めたところ、台風が直撃した後ということもあり、その男性の車の上にもろくなってしまった木が倒れてきました。そこで、男性は、警察を呼び、管理会社(Жилищно Коммунальное Хозяйство)で、状況を証拠化し、後日、樹木学者を訪れ、木が腐っていたという証拠も集め、管理会社に対して損害賠償請求をしました。
 もっとも、原審においては、男性は敗訴してしまいました。敗訴の理由としては、そもそも木が倒壊した理由が、建築基準法(СНиП III-10-75 «Благоустройство территорий»)6.9条に違反するような形で木の周辺がコンクリート舗装されてしまっていたことにあったものの、この管理会社が管理を始める以前から既に木はこの建築基準法に違反する形で存在していた以上、管理会社は男性が被った損害に対して無過失であると認定されたのです。
 これに対し、最高裁は、管理会社に過失があったことを認定し、男性は最高裁において逆転勝訴しました。実は、男性は台風前から管理会社に対し、アパートの敷地内にある樹木の安全を確認するよう何度か要請していたにもかかわらず、管理会社はかかる要請を無視していたという事情があったのです。そこで、最高裁はこの点を重視し、管理会社に過失があることを認定したのです。

参考

Определение Верховного Суда РФ № 11-КГ19-15 от 13 августа 2019 года
Решения судов
СП 82.13330.2016 Благоустройство территорий. Актуализированная редакция СНиП III-10-75, СП (Свод правил) от 16 декабря 2016 года №82.13330.2016
СП 82.13330.2016 Благоустройство территорий. Актуализированная редакция СНиП III-10-75

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