ロシアでの外国投資家規制

 近年、世界的に外国投資家に対する厳格な規制が取り入れられており、日本でも2020年春施行予定の外国為替法及び外国貿易法(“外為法”)により、届出免除制度も同時に新設されはしますが、事前届出対象となる対内直接投資規制が拡大することが予定されています。
 この日本における外為法改正のポイントの1つとしては、対内直接投資等に上場会社株式・議決権取得の閾値が10%から1%(会社法上の株主総会における議題提案権の基準)に引き下げられるということですが、ロシアにおいては、どの程度の株式や議決権を持っていると外国投資家として扱われるのでしょうか。

ロシアにおける外資規制の概要

 ロシアにおいて、外国投資家に対する規制は、連邦レベルと地区レベルの両方で行われています。そして、連邦レベル(Статья 2 Федерального закона от 09.071999 N160-ФЗ «Об иностранных инвестициях в Российской Федерации )では、株式や議決権を基準に考えるのであれば、10%以上の議決権付き株式を保有する株主が外国投資家として扱われます。逆をいえば、10%以下の議決権制限株式の取得は、ポートフォリオ投資と呼ばれ、かかるポートフォリオ投資は外国投資家としては扱われません。
 もっとも、これはあくまで連邦レベルの規制であり、地区レベルでより厳格な規制が行われているところもあるので、この点は注意が必要です。
 そのうえで、ロシアにおいて外国投資家に該当する場合、ロシア政府委員会(Правительственная комиссия РФ)に事前届出をする必要あり、事前届出制度が適用されている点は日本と類似しているといえます。

ポイント

 では、ロシアで外国投資家にあたる場合、他にどのような点に気を付けなければいけないのでしょうか。すべてはこの記事では紹介しきれないので、そのうちの一部を紹介してみたいと思います。
 原則として、外国投資家とロシアの投資家は平等に扱われなければならないとの規定は存在しますが、ロシアの国益を守るために外国投資家は一定の制約を受けることがあります。
制約の中の1つとして、一定の業種(航空事業、軍事事業、原子力事業等)に対する外国投資家の支配(例えば、50%以上の議決権付き株式を取得すること等)は禁止されています。これは、日本における「指定業種」と類似の制度設計であるといえるでしょう。
 また、一定の業種に関しては、外国政府の国有企業が投資をする場合には、「10%以上」ではなく、「5%以上」の議決権付き株式の取得でも外国投資家としての規制を受けたりすることがあったりと、規制が強化されている面があるので注意が必要です。

ロシアと日本の比較

 そのうえで、今回の日本の外為法改正とロシアの外国投資家に対する規制を分析するに、届出免除制度を導入するとはいえ、事前届出の対象となる上場会社の株式・議決権取得の閾値を10%から1%に引き下げている点で、日本の方がロシアよりも一面では外国投資家に対する規制がより強い制度設計であると評価することが可能であるのではないでしょうか。

参考

!http://invest-rf.com/ru/pochemu-rossiya/zakonodatel-stvo/