今回は、ロシアにおいては消費者保護の観点から、契約に一定条件を付すと無効になる条件があり、今回はこのような無効となる条件について規定をしたロシア連邦の消費者の権利保護に関する法律(Закон РФ «О защите прав потребителей»)16条について紹介をしたいと思います。
ロシア連邦の消費者の権利保護に関する法律16条には、消費者の権利を侵害する契約条件は無効となる旨が規定されています。
具体的には、同条1項には、「Условия договора, ущемляющие права потребителя по сравнению с правилами, установленными законами или иными правовыми актами Российской Федерации в области защиты прав потребителей, признаются недействительными. Если в результате исполнения договора, ущемляющего права потребителя, у него возникли убытки, они подлежат возмещению изготовителем (исполнителем, продавцом) в полном объеме.」と規定されています。
つまり、法律等に規定されている消費者保護の規律等と比べて、消費者の権利を侵害するような内容の契約の条件は無効とされています。もしこのような消費者の権利を侵害するような条件を含む契約の実現過程において、消費者が損害を被った場合には、契約を締結した相手方である製造業者(請負業者、販売者)は消費者の損害を全額の補償することとなっています。
また、同条2項の中には、「Запрещается обусловливать приобретение одних товаров (работ, услуг) обязательным приобретением иных товаров (работ, услуг). Убытки, причиненные потребителю вследствие нарушения его права на свободный выбор товаров (работ, услуг), возмещаются продавцом (исполнителем) в полном объеме.」と規定されています。
つまり、特定の商品(仕事、サービスの提供)を得るのに際し、他の商品(仕事、サービスの提供)の取得を義務付ける内容の条件を抱き合わせることは禁止されています。もしこのような条件が付されたことにより、消費者が商品(仕事、サービスの提供)を選択する自由が侵害され、結果として、損害を被った場合には、契約を締結した相手方(販売者)は消費者の損害を全額の補償すること、となっています。
そのうえで、これらの条件を付けた者は、行政違反に関する法律(Кодекс Российской Федерации об административных правонарушениях (КоАП))14.8条により行政罰の対象となります。
実際にこれらの条項が問題となった事案として、2013年7月10日、消費者の一人が“SAFE”という名の預金口座を開設しようとした際、口座開設とは別に追加の有料サービス(具体的には、SMS通信サービス)も抱き合わせで契約をさせられたとして提訴した事案(Постановление Девятого арбитражного апелляционного суда от 16 июня 2014 г. N 09АП-16401/14)があります。
参考
http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_305/a59c9031d80197ff65e988f45049e8ba09a0ade0/
http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_34661/59f86440655bf2aec393fd031c5a4bc13cfcdc17/
http://base.garant.ru/60164310/