日本においては、「弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める。」ということが、弁護士職務基本規程の第6条に規定されています。
ロシアにおいても弁護士の品位を規定した条文があり、今回はその条文を紹介するとともに、実際にかかる点が争いとなった事案を紹介したいと思います。
法律の規定
まず、ロシアの弁護士倫理に関する法律(Кодекс профессиональной этики адвоката)8条2項によると、弁護士は自分のもとに法律相談に来た人、クライアント、同僚およびその他の人の権利、名誉、尊厳を尊重し、ビジネスにふさわしいふるまいや服装のスタイルを遵守すべきことが義務付けられています。
弁護士会の規程
そのうえで、弁護士会が出している規程(ПОЛОЖЕНИЕ О деловом стиле одежды адвоката)の5点目によると、弁護士は、きちんとした、公式的な、清潔かつ清楚な伝統的なスタイルを順守すべきであると規定されており、職務の遂行の際、アイロンがけをしていない、だらしのない恰好で職務を遂行することは認められておらず、スポーツスタイルの服や靴、短パン、ミニスカート、前が開けたり、透けているトップスその他のビジネスに適さない服装での職務遂行は認められていません。
具体的な事案
実際の事案として、弁護士が裁判所にサングラス、Tシャツ、デニムのノースリーブのジャケット、短パン、バンダナを頭に巻いた状態で来たという事案(Определение N 2658-O от 2 октября 2019)があり、この事案においては、まさに上述した弁護士としての品位が問題となり、弁護士資格をはく奪すべきかまで議論されました。
なお、この事案はまだ確定していません。