日本では利息制限法という法律で利息の上限が設定されており、一定の利息を超えるものについては、無効ということになっています。では、ロシアには利息の制限等はあるのでしょうか。実際にあった1つの事案(Определение Верховного Суда от 12.04.2016 N 59-КГ 16-4)を用いながら説明をしたいと思います。
事案の概要
あるロシアにあるマイクロファイナンスの会社(少額の貸付を行うことを業とする会社)がある男性に17,000ルーブルを貸し付けました。その条件は、2013年2月28日から2013年3月20日を貸付期間とし、利息は1日あたり1.5%と設定されました。この1日あたり1.5%という利息は、なんと1年間に換算すると、1年あたり549%の利息となるのです!!
当然のことながら、この男性は借りたお金を返すことができず、2014年2月時点では元金17,000ルーブルに対し、利息は、72,750ルーブルにまで膨れあがってしまいました。
そこで、会社は男性を訴え、元金及び利息の請求をしてきました。
最高裁の判断
最高裁は、条文上、利息に関しては上限がない規定となっているものの、今回のマイクロファイナンス会社は権利を濫用し、利息を高額に設定したものと判断しました。
具体的には、契約の自由という原則がある中でも、誠実な行動というものが心掛けられるべきであり、貸金業においては、合理性・公平性から、貸金業者・借主の利益のバランスをとりながら、利息が設定されるべきであるとの判断枠組みを示したうえで、最高裁は、利息の額は市場平均とすることとし、ロシア民法(Гражданский Кодекс РФ)404条に基づき利息を24,650ルーブルに減額しました。
ポイント
たしかにロシア貸金業法(Закон о микрофинансовых организациях от 02.07.2010 N-151 ФЗ)12.1条をそのまま素読すると上限なく利息が設定できるような体裁になっているように読めます。もっとも、実際の実務においては、利息はあくまで、合理性・公平性を考慮して、民法404条により一定程度に限定がなされている運用がなされていることが今回の事案のポイントです。
ロシアで子会社等を持っている会社は利息を設定する際には気を付けていただければと思います。
参考
!http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_5142/e63669eee0a0d8811fed2a23643e33f924007ae2/