(時効の効力)
第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
建物を時効で取得する場合、時効完成前の段階で当該建物対して不法行為が行われた場合、その不法行為請求権が誰に帰属することになるのか、問題となります。
民法144条は、時効の効力が、起算日にさかのぼるものと規定しており、時効完成前の段階では、もともとの所有者に対して当該損害賠償請求権が帰属しているものの、時効完成後にその時効が援用された場合には、当該損害賠償請求権は時効取得したものに帰属することになります。
したがって、時効期間中に建物が第三者の不法行為により一部損傷した場合の損害賠償請求権は、その建物の所有権を時効により取得した者に帰属します。