「オンライン授業事始め」(松下淳一)を読んで

法学教室2020年8月号では、東京大学の民事訴訟法・倒産法の教授である松下淳一先生が、巻頭言を書かれていました。

その内容は、新型コロナウイルスの影響で2020年から始まった、大学や法科大学院におけるオンライン授業において。

そこでは、「ライブ感」が失われたオンライン授業について言及しつつも、次のような、オンライン授業における新たな発見について述べられていました。

それは、「授業中にオンラインで質問してくる学生が多い」という点です。

おそらく、ZOOMによる授業を想定して書かれているのだと思いますが、たしかにZOOMでは、全体向けではなく、特定の人に対してコメントを送ることができるので、それによって多くの学生が授業の真っ最中に先生に対して質問をするというのです。

確かに、私の実感でも、法科大学院の学生は「間違っていたらどうしよう」「的はずれな質問だったらどうしよう」みたいな不要な心配をして、あまりみんなの前で先生に対して質問をするのを遠慮する学生が多いです。しかし他方で、法律学という簡単には飲み込むことのできない事項について、授業の中で多くの疑問を抱くのも確かです。

そのように、これまで学生が「質問したいけどできない」というような状況でモヤモヤと抱えたままだったものが、オンラインでこっそりと質問しやすい状況になったことによって、一気に解消されたということなのでしょう。

これまでも、「授業で分からないことは、メールで後から質問していいよ」と言ってくださる先生方もいたものの、やはりわざわざメールを送り付けるというのはハードルが高いもので…。それと比べて、授業においてまさに使っているツールであるZOOM等において、その機能を使って質問をするというのはハードルが低いのでしょうね。

まあ、ただ、普通に調べればわかるような質問について、先生の手をわずらわせるのは、一方的に先生の時間を奪っているだけなので、そういうことは避けなければと、私自身の自戒として思うところではありますが…。

オンライン授業、デメリットばかりではなさそうです。