日本の種類株式・会社法107条1項2号編

 以前の記事で「日本における株式の種類」という題で、普通株式と種類株式の違いについてご紹介し、その中でも、会社法107条1項1号の種類株式(譲渡制限株式)の特徴を紹介しました。

 そこで、今回は107条1項2号の種類株式(取得請求権付株式)の特徴についてご紹介したいと思います。

 107条1項2号の取得請求権付株式とは、同条項に規定されているとおり、「株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができる」株式を指します。

 株主が会社に対してその株式を取得することを請求できる期間は、定款で定めた期間となります(会社法107条2項2号ヘ)。そして、取得請求がされるとその対価を会社は当該株主に対して交付をすることとなります。交付される対価は、「当該株式会社の社債」、「当該株式会社の新株予約権」、「当該株式会社の新株予約権付社債」、「当該株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。)以外の財産」のうち定款で規定された対価が交付されることとなっています(会社法107条2項2号ロ、ハ、二、ホ)。

 取得の対価として交付する財産として当該会社の発行する株式を対価とすることはできないとされています(江頭憲治郎「株式会社法 第7版」152頁(有斐閣、2015))。そして、当該財産の帳簿価額が取得の請求の日における会社の分配可能額を超えているときは、請求することができないとされています(会社法166条1項ただし書、461条2項。江頭憲治郎「株式会社法 第7版」151頁(有斐閣、2015))。

 なお、取得請求権付株式が振替株式である場合は、取得請求をする株主は、当該振替株式について振替の申請をしなければならないとされています(社債株式振替法156条1項)。