アメリカの著作権法は、日本の著作権法と共通する部分も多い一方で、日本の著作権法の考え方とは異なるものもあります。アメリカの著作権法は、合衆国憲法が定める「科学および有用な技術の進歩を促進する」という功利主義的な目的をその根底に置いているためです。
例えば、アメリカでは日本以上に「職務著作(Work Made for Hire)」の概念が非常に強力で、多くのケースで雇用主が「著作者」と見なされます。何より、アメリカ著作権法を最も特徴づけているのが、「フェアユース(Fair Use)」の法理です。4つの要素を総合的に考慮してケースバイケースで判断されるこの法理は、その不明確性から悩みのタネになるとともに、イノベーションを促進する役割も有しています。
かつてはアナログレコードのレンタルが、少し前はファイル共有ソフトが、現在は生成AIが、著作権法に新たな議論を巻き起こしています。時代に合わせて変化を続ける著作権法ですが、その根底にある理念を把握することが体系的な理解に繋がります。