アメリカの著作権法

アメリカの著作権法は、日本の著作権法と共通する部分も多い一方で、日本の著作権法の考え方とは異なるものもあります。アメリカの著作権法は、合衆国憲法が定める「科学および有用な技術の進歩を促進する」という功利主義的な目的をその根底に置いているためです。

例えば、アメリカでは日本以上に「職務著作(Work Made for Hire)」の概念が非常に強力で、多くのケースで雇用主が「著作者」と見なされます。何より、アメリカ著作権法を最も特徴づけているのが、「フェアユース(Fair Use)」の法理です。4つの要素を総合的に考慮してケースバイケースで判断されるこの法理は、その不明確性から悩みのタネになるとともに、イノベーションを促進する役割も有しています。

かつてはアナログレコードのレンタルが、少し前はファイル共有ソフトが、現在は生成AIが、著作権法に新たな議論を巻き起こしています。時代に合わせて変化を続ける著作権法ですが、その根底にある理念を把握することが体系的な理解に繋がります。

第1部 米国著作権法の基礎

第1章 アメリカ著作権法の基礎

第2章 著作権保護の対象と要件

第3章 著作権の帰属主体

第2部 著作権の内容と権利制限

第4章 著作権者に認められる権利

第5章 第一販売権(ファーストセール・ドクトリン)

第6章 フェアユース

第7章 免責・許諾

第3部 権利の行使と国際的側面

第8章 著作権侵害と救済措置

第9章 デジタル時代の著作権法(DMCA)

第10章 ベルヌ条約・万国著作権条約