アメリカの独占禁止法(反トラスト法)

検索エンジン、スマートフォン、オンラインショッピング、SNS等を支配する巨大なプラットフォームは、私たちの生活に利便性をもたらす一方で、時に公正な競争を歪めうる程の圧倒的な力を有しています。

イノベーションを促進しつつ、市場の独占化を防ぐにはどうすればよいのか。経済的な効率性と中小企業保護・民主主義といった価値は、どのように両立されるべきか。これらの問いに、130年以上にわたって向き合ってきたのが反トラスト法(独占禁止法)です。1890年のシャーマン法制定に始まるこの法体系は、単なる法律の条文にとどまらず、資本主義の健全な発展を目指すための思想的・経済的フレームワークとして機能してきました。

第1部 基礎編

第1章:前提知識(経済学の基礎知識)

第2章:反トラスト法の歴史と理念

第3章:市場支配力と市場画定

第2部 実体法編:反競争的行為の分析

第4章:水平的制限(競争者間の合意)

第5章:単独企業による支配的地位の濫用(独占化)

第6章:垂直的制限(サプライチェーンにおける制約)

第7章:企業結合(M&A)規制

第8章:価格差別とロビンソン=パットマン法

第3部 執行と法の適用範囲

第9章:法執行のメカニズムと救済制度

第10章:適用免除と法の地理的範囲